さて説明してきましたように、今まさにこの瞬間あなたの周囲で起きている現実は、未来からやってくる、あるいは準備されている「運命の材料」と、過去にあなたが残してきた「結果の残滓」からできているわけですね。まあA君の場合だと仕事の休みや夏バテとかは未来からやってきた素材だけど、田舎が海の近くだったり叔父さんが畑でスイカ作ったりしてるのは過去の流れかな。そういうのが未来と過去の両方から根を張るように引っ張られて、紐づけられて、今の出来事がある、と。そんな感じです。
で、この運命の根っこなんですが、他の人の運命にも伸びているわけですよ。人は一人で生きているのではないので。Bちゃんも夏休みが取れたので。同窓生がみんな帰省したので。スイカ割りが実現したわけでしょ? そうでなきゃ今頃A君は一人で家で寝てたかもしれないしスイカは冷蔵庫で冷やしていたかもしれないし盆休みは墓参りだけで終わってたかもしれないじゃん。一人でスイカ割りはない。なくはないが、それはない。悲しい。だからない。うん。他の人の運命からも素材を引っ張ってきたので、みんなでスイカ割りした現在があるわけで。ね。
そうするとね、その現実がまた過去の残滓になるわけですよ。「またやろうね」って。すると先々の将来でまた同じシチュエーションが成立したときは、今よりスイカ割りのハードルは下がるのです。最初の一回より次の一回、さらに次の一回はハードルが下がるので、実現しやすくなるのです。
で、彼の根っこの伸びてる先が、別に知り合いだけって必要はないのです。
占い師のあなたのところにA君の根っこが伸びててもいいんですよ。夏休みが取れたね、みんなお盆には帰ってくるそうだね、占いで良い結果が出たね、何か良いことがあるかもね。と。そんな流れ。強引かな? A君の場合だったら無難に「恋人」とか「愚者」とか。「聖杯6」とかもいいかもね同窓生だし。それともスイカ割りだから今回はイメージ優先で「棒6」かな。その占い師さんがどんなリーディングのクセがあるかによって出るカードも変わるだろうけど。仮にこれがA君にとって初めてのタロット占いでも、そのイメージはきっちり出ますよ、なぜかって? A君にとっては初めてでも占い師さんにとっては「何度も何度も占ってきたタロットのお客さんの一人」だからですよ。
占い師さんの方にも現在に木が生えているのです。そして過去の占いの蓄積があるのです。その上でA君が占いにやってきたのです。未来の素材を持って。だから占い師側から見れば、彼自身が素材なのです。また一つ。鑑定の結果が出る素材なわけですよ。
こんな感じ。で、これは別にお客さんに限った話じゃないわけで。タロット初心者もいっしょなのです。じつはね。タロットって占うだけじゃなくて、自分を占ってもらうことも大切なんですよ。あなたの運命の中に「未来とタロットがリンクした瞬間」を増やすための手段は、人を占うことだけじゃないんです。あなた自身が占ってもらって、あなたの運命の中に「リンクする瞬間」を別の、先輩の占い師さんに、作ってもらうことも大切な経験なんですね。そうやって木を育てていくのです。
前の方で。100人当てた占いが101人目を当てるとは限らないって書いたでしょ? それは事実です、だって人が違うのだから。その人が乗っかっている運命が、そこで育っている運命の木が違うのだから。人によっては占いを必要としない、活用しない、だから占いには触れない。距離を置く。そんな人生だってアリなのですもちろん。そんなの自由だからね。そこに立ち入っちゃいけない。でも実際に占いを受け入れて、その木が育ちはじめた人ならね。話が別なんです。
100人は101人目を保証しないけど、100回タロットとリンクした運命は101回目もリンクするよ。当たるよ。それはまるで指数関数のように。ぎゅーんと。当たる率は上がっていきます。
タロットは当たるのではなくて、タロットを使ってると当たるようになるの。その人生が。私は「馴染む」って言い方をよくするんだけど。その占いの方法がね。馴染むんですよその人の人生に。運命に。それはタロットに限ったことじゃないのです。次はその話を。