「先導者」か「孤独」か
独立独歩の星、仁星。よくリーダーシップの強い数秘として挙げられますが実際は言うほど人間関係に対するマネジメント能力はありません。人心の機微にそこまで頓着がなく相手と対峙する際に規範とするのは常に良識や慣習が第一なので、恋愛ごともあまり得意ではありません。が、義理や恩義というものには敏感で、上下関係にうるさく目上の人には礼儀正しいのが特徴です。理論派で議論が好き、特に自分の考えを主張するのが得意で酒が入ると説教好きになります。人をきちっと叱れるので、そこはリーダーに向いていますが、状況や環境によってはその性格が災いして孤立するケースもあります。一旦孤立してしまうとなかなか脱却することが出来ず、その環境では本来の能力を活かせずに終わるでしょう。
魔術師・運命の輪・太陽の三つの能力
人間関係の掌握には向かない仁星ですが、物事を押し進めるのに必要な三つの能力を備えていて、これが結果として彼をその場のリーダーに仕上げます。まず第一は魔術師の持つ「問題把握と改善の能力」です。いわゆるプランニングです。人間の世界の数秘1は神の世界の数秘1と違い、何もないところから純粋に想起される発想の能力ではなく(発想の能力は数秘22の愚者が備えています)、常に現状の打開、問題の解決という人間界の因果の流れの上に立ったプランを立案します。ですのでその行動は、よい意味で先人の模倣になるケースが多く、理想的で的を射たプランニングを行ないます。決して突飛な発想ではありません。
ただ彼はマネジメントの能力がほとんどないので、それを具現化するための環境性や準備のための資本や技術に関心が薄く、時にプランニングが非現実的です。そんな困難なプランを実現させるための無理矢理な、強烈な行動力も秘めており、実現するためにはどこにでも行って誰にでも会い、どんな協力体制も繋ぐというバイタリティがあります。これは運命の輪の持つ「動力の稼動と豪腕」の能力です。
そして最後の太陽が持つ「目的の具現化」の能力によって、ついには困難なプランを成功と言える領域まで実現してしまうのです。それまでに多くの人の才能や技術、時には労力や時間を巻き込んでいきますので、人によっては仁星の人間を煙たがる相手もいます。
仁星の適性
彼の持つ強引な牽引力を魅力と感じるか危険因子として排除しようとするか、あるいは人間性に魅かれるか煙たがるかで、好きな人と嫌いな人が極端に別れます。能力を認めた目上の人からは非常に可愛がられます。ただし同期や後輩は、付いていける人は少数です。ですので政治や組織の長に立つと最初の伸びがすごいですが組織を管理する場面で問題が生じ、本人が衰えると急激に求心力を失ってしまいます。早い時期に信頼のおける安定型の数秘を側に置くのがいいでしょう。リーダーではなく組織内部に所属する際は自分を含めた周囲の人間を論理的に配置する場のクリエイション能力に優れています。コーディネイト、ディレクションに才能を発揮し、本人も知識や技術を有する場合もあり、一人でやれることはどんどん一人でやってしまいます。ただし人間関係における感情の機微に疎いので派閥を作りやすく感情面での衝突をマネジメントできないのが弱点です。
仁星の嗜好
友人知人との対し方、恋愛においては非常にさばさばしています。去る者は追いません。ただ元来が孤独な相を持ち、自分を慕ってくれる相手には多大な信頼を向け、時に強く依存します。仁星の種類
★1−9または9−1「HeroOnTheHill」総合数の仁星にもう一つ1が重なるタイプで、高い成功願望を持つことが多く、それが態度に出やすい分かりやすいキャラクターです。9の達星は内省の星でもあるので秘めているコンプレックスも高く、それゆえに負けん気が非常に強い、いわゆる「ツンデレ」キャラが多く見られます。
★2−8または8−2「HighendChairman」
野心家ですが「HeroOnTheHill」に較べると自分の本心を隠すことに長けています。一つのことだけに特化するのではなく総合力で勝負しようとする偶数の安定気質を備えています。数字にも強く経営も得意で、敵には情け容赦がありません。
★3−7または7−3「EvilAngel」
仁星には珍しく突出して他者の心理を読むのに長け、人心を掌握する術を心得ているタイプです。知性も高くマルチな才能もありますが、時に策に溺れ過ぎたり自分の実力を越える問題に安易に手を出して自滅するケースもあります。
★4−6または6−4「FullMetalOwl」
仁星の中ではディフェンスに長けたキャラで、人懐っこく天然で割と落ち込みやすいような雰囲気があったりしますが、実際の中身は非常に打たれ強く、逆に相手を一撃で沈める砲撃のような一言を発します。それが武器でもあり、それが原因で孤立する危険もあります。
★5−5「Dreamin’Leo」
5が重なるために仁星より遊星の気質が強く出る自己完結型の仁星です。普段の気性は温厚で、他者のテリトリやリーダーシップにはほぼ興味を示しませんが、自分のテリトリ内のことは全て自分の色で染め上げ、そこに干渉は許さない意志の強さがあります。
★11−8または8−11「DarkHandChairman」
殉星11の気質が強く出るので「HighendChairman」ほど野心家ではありませんが、自分の信念や美学に沿わないリーダーには易々と反逆し、その首をすげ替えようとする危うさを秘めています。人間関係の計算はできますが時に破滅願望が顔を出すと、簡単に集団を分解するタイプです。
★22−6または6−22「FullMetalBandit」
「FullMetalOwl」を強化した感じのキャラで、防御力、攻撃力も一段と高まっています。口喧嘩でもふっかけようものなら収拾が大変です。身内に愛情は深いですが口やかましく、それが時に強いプレッシャーを相手にかけるケースがあります。
まとめ
私の中で数秘1とリーダーシップというのがいまいち結びつかないのは、リーダーという意味合いが「集団ありき」だからなんですね。仁星はまず「目的ありき、目標ありき」の数秘なので、集団だろうが一人だろうが突っ走るときは突っ走る数秘なのです。そんな一途さ、懸命さ、強引さが仁星の魅力です。しかしそんな仁星の一途さは、本人が人が良ければ易々と他者に利用される危うさを秘めています。得てして本人もそれを分かっているケースもあって、だからこそ自分を横からサポートしてくれる人間への愛情は、それが伴侶であれ友人であれ深くなるのが仁星の一番の特徴でしょうか。